介護施設が人手不足で回らない理由と利用者への影響

介護施設

介護施設が人手不足で回らない理由と利用者への影響

「施設に入居してからケアが行き届いていない気がする」「どこの施設も人手が足りないと聞くけど、実際にどのくらい深刻なの?」そんな不安や疑問をお持ちの方からのご相談が、最近とても増えています。

介護施設が人手不足で回らない状況は、今や一つの施設や地域だけの問題ではなく、日本全体が抱える構造的な課題となっています。特に福岡県では、介護職の有効求人倍率が全国でもっとも高い水準で推移しており、人材確保の難しさは深刻です。人手が足りなくなれば、当然ながらケアの質にも影響が出てきます。

この記事では、なぜ介護施設が人手不足で回らなくなるのか、その根本的な原因から、利用者への具体的な影響、そして家族として施設を見極めるためのポイントまで、nishiがくわしく解説していきます。ご自身やご家族の施設選びにぜひ役立ててください。

記事のポイント

  • 介護職員の不足数は2040年度に約57万人に達すると推計されている
  • 人手不足が続く施設ではケアの質が低下し利用者の生活に直接影響が出る
  • 低賃金・高離職率の悪循環が施設の慢性的な人手不足を引き起こしている
  • 見学時の職員の様子や職員の定着率で人手不足の施設をある程度見極められる

介護施設が人手不足で回らない現状

介護施設が人手不足で回らない現状

日本の介護現場は、慢性的かつ深刻な人手不足に直面しています。施設によっては「なんとか回っている」という段階を超えて、本来のケアが提供できない状態になっているケースも少なくありません。ここでは、介護施設が人手不足で回らなくなっている現状を、データと現場の実態をもとに確認していきます。

深刻化する介護職員の不足数データ

介護職員の不足がどれだけ深刻かを理解するうえで、まず数字を見ていきましょう。厚生労働省の推計によれば、2026年度には介護職員が約25万人不足し、2040年度には実に約57万人もの介護職員が不足するとされています。現在の介護職員総数が約215万人程度であることを考えると、この不足数がどれほど途方もない規模かが伝わると思います。

さらに衝撃的なのは、2023年に介護職員数が調査開始以降はじめて「減少」に転じたというデータです。これは、高齢者の数が増え続けているにもかかわらず、介護の担い手が絶対数として減り始めているということを意味します。需要が増える一方で供給が減るというこの構造は、今後の介護現場をさらに追い詰めていきます。

福岡県における状況はさらに特殊です。2022年度の介護職の有効求人倍率(都道府県別)を見ると、福岡県は13.02倍という全国最高の数値を記録しています。有効求人倍率が13倍ということは、1人の求職者に対して13件以上の求人がある状態を指します。つまりそれだけ人材が集まらない状況であることを示しており、全国平均の4倍前後をはるかに上回っています。

また、2025年度に福岡県が必要とする介護人材は97,525人とされており、2019年度の86,221人からわずか6年間で11,304人を新たに確保しなければならない計算です。しかし実態として、県内の介護施設は採用に苦戦しており、この目標数値を達成できている施設はごくわずかというのが現実です。加えて、福岡県の介護職員の離職率は17.5%と全国平均の15.3%よりも高く、せっかく採用しても定着しないという課題も重なっています。

全国の介護事業所を対象とした調査では、「人材が不足している」と感じている事業所が全体の84%にのぼるというデータもあります。つまり、ほとんどの介護施設が何らかの形で人手不足を感じながら運営しているということです。「介護施設が人手不足で回らない」という状況は、一部の施設の問題ではなく、業界全体・地域全体の問題として捉える必要があります。

このような現状を踏まえ、家族として施設を選ぶ際には、こうした背景を理解したうえで判断することが大切だと私は考えています。単に「空きがあるから」という理由だけで施設を選ぶのではなく、人員体制をきちんと確認することが、入居後のケアの質を守ることにつながります。

低賃金と重労働が招く悪循環

介護施設の人手不足で回らない状況が続く大きな要因の一つが、低賃金と重労働の組み合わせです。介護職の平均賃金は、全産業の平均と比べて依然として低い水準にあります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、介護職員の平均月収は全産業平均を数万円下回っており、特に経験の浅い職員ほどこの差が顕著です。

介護の仕事は、身体介護・認知症ケア・看取りといった専門的かつ精神的に負担の大きい業務を担っています。夜勤も避けられず、特養や介護付き有料老人ホームなどの入居型施設では、夜間でも少ない人数で大勢の入居者に対応しなければならないケースが多くあります。こうした現実に対して報酬が見合わないと感じる職員が多く、離職につながっています。

ここで生じるのが「悪循環」です。人手不足になる→残った職員に業務が集中する→疲弊する→離職する→さらに人手が足りなくなる、というサイクルが施設内で回り始めると、抜け出すことが非常に難しくなります。一人が辞めると、その穴を埋めるために他の職員が休日出勤や残業を繰り返し、体力的・精神的に限界を迎えてさらに離職者が出る、というパターンが繰り返されます。

国も介護職員の処遇改善に取り組んでおり、処遇改善加算や特定処遇改善加算を通じて賃金水準の引き上げを進めています。2024年度の介護報酬改定においても、賃上げを目的とした加算が設けられました。しかし現場からは「改善はされているが、まだ他産業との差が縮まっていない」という声が多く、抜本的な解決には至っていません。

その結果、若い世代が介護職を選ばず、施設の採用活動は年々難しくなっています。求人広告費や人材紹介会社への費用も増大し、施設経営を圧迫するという問題も生じています。低賃金が人手不足を招き、人手不足が施設の運営コストを押し上げ、さらに賃金改善の余地を狭めるという多重の悪循環が、介護業界全体を覆っているのが現状です。

処遇改善加算を適切に取得・活用している施設は、職員の賃金改善に積極的な施設です。見学の際に「処遇改善加算は取得していますか?」と確認してみることも、施設の姿勢を知る一つの方法です。

少子高齢化が加速させる採用難

介護施設が人手不足で回らない問題の根底には、日本が直面している少子高齢化があります。65歳以上の高齢者人口は増え続ける一方で、15〜64歳の生産年齢人口は減少の一途をたどっています。介護職員の担い手となる若年層の絶対数が減っているため、施設が採用活動をがんばったとしても、応募者自体が集まらないという現象が起きています。

内閣府の試算によれば、日本の高齢化率は2025年に約30%、2040年には約35%、2070年には約39%に達する見込みです。これは介護を必要とする人口が今後も増え続けることを意味しており、介護サービスの需要はますます高まっていきます。

福岡県においては、2025年に高齢者人口が約149万人に達し、2040年には約159万人に増えると推計されています。県内の介護施設は今後さらに多くの入居者や利用者を受け入れる必要がありますが、採用できる職員数はこの需要に追いついていません。都市部であっても、介護職の担い手不足から逃れることはできない時代に突入しています。

こうした背景から、各施設は介護ロボットの導入やICT活用、外国人介護士の受け入れなど、さまざまな施策で人手不足を補おうとしています。2025年4月からは、特定技能外国人が訪問介護にも従事できるようになり、外国人材の活用の幅が広がりました。また、技能実習制度の見直しにより、より多くの外国人介護士が現場で活躍できる環境が整いつつあります。

ただし、外国人介護士の活用には、言語や文化の壁を乗り越えるための研修・教育体制の整備が必要です。入居者との意思疎通が難しくなるリスクもあるため、外国人職員の受け入れ体制が整っている施設かどうかを確認することも大切な視点になります。

私が見てきた施設の中には、介護ロボットやセンサーを積極的に活用することで、少ない職員でも高水準のケアを維持している施設があります。テクノロジーの活用は人手不足対策の一つの答えになり得ますが、それが機能するためには施設としての運営力と意識の高さが前提となります。施設を選ぶ際には、こうした取り組みを行っているかどうかも判断材料の一つになります。

人間関係の問題と高い離職率

介護施設の人手不足で回らない状況を悪化させるもう一つの大きな要因が、職場内の人間関係と、それに起因する高い離職率です。公益財団法人介護労働安定センターの調査によれば、介護職を辞めた理由として「職場の人間関係に問題があった」を挙げる人が最も多く、全体の23.2%に上ります。

なぜ介護職の職場は人間関係のトラブルが起きやすいのでしょうか。理由の一つは、業務の性質上チームワークが求められる一方で、一人ひとりのケアに対する考え方や価値観の違いが表面化しやすいことです。また、人手不足の状況下では職員が余裕をなくし、お互いを支え合うよりも自分の業務をこなすことで精一杯になりがちです。こうした状況が積み重なると、職場の空気が悪くなり、さらに離職者が増えるという負のサイクルに入ります。

また、介護施設では特定の職員に業務が集中する「属人化」の問題もよく起きます。長年働いてきた経験豊富な職員が退職すると、その人しか知らなかった入居者の情報や独自の対応方法が引き継がれず、現場が混乱するケースも見られます。業務が属人化している施設では、一人の退職が施設全体の機能不全につながるリスクが高くなります。

福岡県の介護職の離職率は17.5%とされており、全国平均の15.3%よりも高い状況です。つまり、福岡の介護施設では全国以上に職員の入れ替わりが激しいことがわかります。離職率が高い施設では、新しく採用した職員が業務に慣れないまま辞め、また新たに採用するというサイクルが続き、いつまでもケアの質が安定しません。入居者にとっても、担当職員が頻繁に変わることはストレスや不安の原因になります。

施設見学の際に「スタッフの定着率はどのくらいですか?」と率直に聞いてみることをおすすめします。定着率が高い施設は、職場環境が比較的整っている可能性が高く、人手不足で回らないリスクも低いと見ることができます。答えを濁す施設や、具体的な数字を出せない施設は、一歩引いて慎重に検討することが賢明です。

人手不足で介護施設が回らないとき起きること

人手不足で介護施設が回らないとき起きること

介護施設の人手不足が回らないレベルにまで深刻化すると、入居者のケアに直接・間接的な影響が出てきます。「少し人が足りない」という段階を超えて、本来のサービスが提供できない状態になったとき、現場では何が起きているのでしょうか。家族として知っておいてほしい現実をお伝えします。

ケアの質が低下するサインとは

人手不足で介護施設が回らない状態になると、最初に現れる変化の一つが「ケアの質の低下」です。ただし、これは目に見えにくい形で進行することが多く、家族が気づくまでに時間がかかるケースがあります。

具体的にどのような変化が現れるかというと、まず食事介助に時間をかけてもらえなくなります。本来なら一人ひとりのペースに合わせて丁寧に食事介助を行うべきところが、職員に余裕がなく早食いを促してしまったり、自分で食べられる状態ではない方が十分に食べられないまま食事時間を終えてしまったりするケースが出てきます。栄養不足が続けば、体力低下や免疫力の低下を招くことにもつながります。

次に、入浴の機会が減ることがあります。施設の規定では「週2回入浴」とされていても、職員が足りない日には入浴が翌日に延期されるケースがあります。入浴は単に清潔さを保つためだけでなく、皮膚状態の確認や血行促進、また心身のリフレッシュという意味でも重要なケアです。この機会が減少することは、入居者の生活の質に直結します。

さらに、レクリエーションや個別活動の機会が減少します。脳トレや体操、音楽活動、外出レクリエーションなどは、認知症の予防・進行抑制や気分転換に大切な役割を果たしています。しかし人手が足りない状況では「とにかく基本的な身体介助だけで精一杯」となり、こうした活動がどんどん減っていきます。

口腔ケアの頻度が落ちることも見過ごせません。歯磨きや口腔内の清潔保持は、誤嚥性肺炎の予防にもつながる重要なケアですが、人手が足りないと後回しにされやすい業務の一つです。口腔内の状態が悪化すると、食欲の低下や感染症リスクの増加につながります。

ご家族が施設に面会に行ったときのチェックポイントとして、「親が起きているか(ベッド上で長時間放置されていないか)」「食事の状態(残食が多くないか)」「口腔ケアの状態」「着替えや清潔保持の状態」などを観察することをおすすめします。些細な変化に気づくことが、ケアの質を守る第一歩になります。

転倒・誤嚥リスクが高まる危険

人手不足で介護施設が回らなくなると、入居者の安全に関わる深刻なリスクも高まります。中でも特に注意が必要なのが、転倒と誤嚥のリスクです。これらは高齢者の入院や死亡原因としても上位に位置しており、介護現場における安全管理の要となっています。

転倒は、介護施設における事故の中でもっとも発生件数が多いものの一つです。本来であれば、職員が定期的に見守りを行い、入居者がトイレに立ちたいときはそばで支えるなど、細やかな対応が求められます。しかし人手が足りない状況では、一人の職員が多くの入居者を担当しなければならず、「目が届かない時間帯」が増えてしまいます。この隙間に転倒事故が発生するリスクが高まります。

特に夜間の見守りの手薄さは深刻な問題です。夜勤は少ない人数で大勢を担当することが多く、ナースコールに対応しながら定期的な巡回を行うのは、体力・判断力の両面でかなりの負担です。夜間の転倒は、骨折など重大な怪我につながりやすく、その後の寝たきりや認知症の進行を招くことも少なくありません。

誤嚥リスクについても同様のことが言えます。誤嚥とは、食べ物や飲み物が気道に入ってしまうことで、誤嚥性肺炎は高齢者の死因として非常に多いものの一つです。適切な食事介助では、入居者の飲み込みのペースや姿勢を確認しながら丁寧に対応することが求められますが、職員に余裕がないと介助が雑になることがあります。また、むせている入居者への対応が遅れるといった問題も起きかねません。

施設見学では「夜間の職員配置は何人ですか?」と具体的に確認することをおすすめします。また、転倒防止のためのセンサーマット・見守りカメラ・離床センサーなどの設備を導入しているかどうかも確認しておきたいポイントです。こうした設備への投資は、人手が十分でない状況でも安全を維持しようとする施設の姿勢を示しています。

夜間の職員数は施設によって大きく差があります。入居者数に対して職員数が著しく少ない施設では、緊急時の対応が遅れるリスクもあります。必ず見学時に確認するようにしてください。

スタッフの疲弊が引き起こす問題

介護施設が人手不足で回らなくなると、入居者だけでなく働くスタッフ自身にも深刻な影響が出ます。そして、スタッフが疲弊することは、結果的に入居者のケアの質にも跳ね返ってきます。この相互作用を理解しておくことは、施設選びの観点からも重要です。

まず、人手不足の状況下では休憩時間が満足に取れないことが多くなります。介護労働安定センターの調査でも、休憩の取りにくさを訴える介護職員の声は多く、「利用者から目が離せないため、実質的に休憩なしで業務を続けている」という状況も珍しくありません。長時間・高負荷の業務が続くと、職員は身体的な疲労だけでなく、精神的なストレスも蓄積します。

残業や急な呼び出しも深刻な問題です。職員が一人欠けると、残った職員で穴を埋めるしかなく、突然の休日出勤や残業が常態化します。「今日も誰かが休んで、また残業」という状況が繰り返されると、「この施設では働き続けられない」と判断する職員が出てきて、さらに離職者が増えるという悪循環が生まれます。

心身の疲弊が進んだ職員は、意識してはいなくても対応が雑になることがあります。言葉のトーンが荒くなる、入居者の要望に丁寧に応えられなくなる、といった変化は、家族が面会したときに感じ取れる場合もあります。また、疲弊した職員が増えた施設では、事故やヒヤリハットの件数が増加する傾向があることも指摘されています。

施設全体の雰囲気として「ピリピリしている」「職員が疲れた顔をしている」「職員同士の連携が取れていない」という印象を受けたなら、それは人手不足のサインかもしれません。逆に、スタッフが生き生きと働いている施設は、職員の精神的な余裕がケアの質に直接表れています。笑顔で入居者と話す職員がいる施設、スタッフ同士のコミュニケーションが活発な施設は、人手不足の状況の中でも組織としての機能を保てている可能性が高いと言えます。

閉鎖・廃業リスクと家族への影響

介護施設の人手不足が深刻化するとき、もう一つ考えておかなければならないリスクがあります。それが、施設の閉鎖・廃業です。人手不足は施設の経営にも直接影響を与えるため、最悪の場合、突然の施設閉鎖につながることがあります。

実際に、近年は介護事業所の倒産件数が増加傾向にあります。帝国データバンクのレポートによれば、介護事業者の倒産件数は2023年に過去最多を更新しており、その背景には人材コストの上昇・職員確保の困難・介護報酬の伸び悩みなどが複合的に絡み合っています。人手不足で適切なサービス提供ができなくなれば、入居者が集まらず稼働率が下がり、経営が悪化するという連鎖が起きます。

施設が突然閉鎖されると、入居している方は急いで転居先を探さなければなりません。これは家族にとって大きな負担であるだけでなく、入居者本人にとっても環境の変化が大きなストレスになります。特に認知症の方は、慣れた環境から突然別の施設に移ることで、症状が急激に悪化するリスクがあります。認知症ケアにおいて「なじみの環境」がいかに重要かは、介護の現場でよく語られる事実です。

こうしたリスクを避けるためには、施設の経営安定性も確認することが大切です。大手グループが運営する施設や、複数の施設・サービスを展開している法人が運営する施設は、単独施設よりも経営リスクが分散されていることが多く、突然の閉鎖リスクが比較的低いと言えます。運営法人の規模や設立年数、グループ全体の施設数なども、経営安定性の参考になります。

また、施設の稼働率(入居率)も参考になります。稼働率が高い施設は利用者が継続して選んでいる施設であり、ある程度の経営安定性が期待できます。見学の際には「現在の入居率はどのくらいですか?」と聞いてみるのも一つの方法です。施設側が透明性をもってこうした情報を開示できるかどうかは、信頼できる施設かどうかを見極めるポイントにもなります。

福岡県内で施設を探している方には、まず複数の施設を比較検討することをおすすめします。一つの施設に絞り込む前に、失敗しない老人ホームの選び方と注意点も参考にしながら、経営安定性と職員体制の両方をしっかり確認するようにしてください。

良い施設を見極めるチェックポイント

介護施設の人手不足が深刻な中でも、「この施設なら安心して任せられる」と思える施設は存在します。見学の際に積極的に確認していただきたいチェックポイントを、具体的にまとめます。

職員の表情・言葉遣い・入居者との関わり方

見学時にもっとも直感的に感じ取れるのが、職員の様子です。職員が入居者に笑顔で声をかけている施設、入居者の名前をきちんと呼んでいる施設、目を合わせて話している施設は、ケアに対する意識が高い傾向があります。逆に、職員が慌ただしそうにしている、入居者への声かけが少ない、職員同士の会話がない(または険悪な雰囲気がある)という施設は注意が必要です。施設の「空気感」は、数字よりも正直に現場の状況を教えてくれます。

職員の定着率・離職率を確認する

施設担当者に「平均的な在職年数はどのくらいですか?」「職員の入れ替わりは多いですか?」と率直に聞いてみましょう。定着率の高さは、職場環境の良さを示す重要な指標です。具体的な数字を提示できる施設は、職員管理に意識的に取り組んでいる証でもあります。

夜間の職員配置数とセンサー類の有無

日中の見学では職員の充実度が見えやすいですが、夜間の体制は見えにくいものです。「夜間は何人の職員が対応していますか?」と具体的に聞くことで、夜間の安全管理への意識がわかります。また、見守りセンサー・離床センサー・ナースコールの整備状況も確認しておきましょう。

ICT・介護ロボットの活用状況

電子介護記録・タブレット端末・見守りロボット・排泄予測センサーなど、ICTや介護テクノロジーを積極的に導入している施設は、人手不足の課題に主体的に向き合っている施設と評価できます。テクノロジーの活用は、少ない人数でも質の高いケアを維持するための重要な取り組みです。

これらのポイントを確認しながら複数の施設を比較することで、人手不足の中でも質の高いケアを維持している施設を見つけることができます。福岡県も介護人材の確保と定着促進に向けた取り組みを進めており、その内容については(出典:福岡県庁 介護人材確保・定着促進に係る取組)でご確認いただけます。行政の支援を受けている施設や、県の施策と連携している施設も、人材確保への意識が高い施設として注目してみてください。

まとめ:人手不足で回らない介護施設を見抜く

まとめ:人手不足で回らない介護施設を見抜く

介護施設が人手不足で回らない問題は、低賃金・少子高齢化・高離職率といった複合的な原因が絡み合っており、一朝一夕では解決できない構造的な課題です。特に福岡県では、全国最高水準の有効求人倍率が示すように、他都道府県と比較しても深刻な状況にあります。

人手不足の施設では、ケアの質低下・転倒や誤嚥のリスク増加・スタッフの疲弊・施設の廃業リスクといった問題が生じる可能性があります。家族として大切な方を施設に預ける以上、こうしたリスクをできる限り見極めたうえで施設選びをすることが重要です。

施設見学の際は「職員の定着率」「夜間の配置人数」「ICT・ロボット活用の状況」「職員の表情や入居者への関わり方」を具体的に確認することで、人手不足の度合いと施設としての取り組み姿勢をある程度判断することができます。一つの施設だけを見るのではなく、複数の施設を比較したうえで、ご家族にとってもっとも安心できる施設を選んでいただければと思います。

人手不足は現実の問題ですが、その中でも入居者に真摯に向き合っている施設は必ずあります。焦らず、丁寧に施設選びを進めていきましょう。

施設探しでお悩みの方へ

「何から始めればいいか分からない」「費用が心配」「急いで施設を探している」など、介護に関するお悩みは一人で抱え込まないでください。

福岡介護ナビでは、福岡県内の老人ホーム・介護施設に関する情報をまとめています。まずは情報収集から始めてみてください。

無料相談・お問い合わせはこちら

※本記事の内容は、私自身の知見や一般的な情報提供を目的としており、特定の施設・サービスを推薦するものではありません。正確な情報は公式サイトや担当窓口にてご確認ください。最終的な判断は専門家や担当のケアマネジャーにご相談ください。

-介護施設