介護施設の電話対応マニュアル|受け方・かけ方のポイントと例文

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介護施設の電話対応マニュアル|受け方・かけ方のポイントと例文

介護施設の電話対応は、利用者のご家族や関係機関との信頼関係を築くうえで非常に重要な業務です。しかし、「正しい言葉遣いが分からない」「家族への報告電話でどこまで話せばいいのか迷う」「クレームの電話が来たときに焦ってしまう」という声は、現場の職員から非常に多く聞かれます。

介護施設の電話対応は、単なる業務連絡ではありません。家族は離れて暮らす親御さんのことを毎日心配しています。その心配に寄り添い、安心を届けられるかどうかが、施設全体への信頼につながります。電話一本の印象が、施設の評判を左右することもあるのです。

この記事では、介護施設で働く方が知っておくべき電話対応の基本マナーから、家族への連絡・事故報告・クレーム対応まで、シーン別に具体的な例文を交えて解説していきます。新人研修の参考資料としても活用いただける内容にまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

記事のポイント

  • 介護施設の電話対応に必要な基本マナーと受け方の流れ
  • 家族への様子報告・事故報告の電話で使える例文
  • クレームや苦情電話への適切な対処手順
  • 個人情報保護を守りながら信頼を高めるコツ

介護施設の電話対応で知っておくべき基本マナー

介護施設の電話対応で知っておくべき基本マナー

まずは介護施設の電話対応における基本マナーをおさえておきましょう。電話対応は施設の「顔」とも言われます。受け方・かけ方・言葉遣いの基本を身につけることで、家族や関係機関からの信頼が大きく変わってきます。

3コール以内に出る電話の受け方

電話対応の基本中の基本が「3コール以内に出る」ことです。これはビジネスマナーの一般原則ですが、介護施設においては特に重要です。家族からの緊急の連絡や、急を要する医療機関からの問い合わせが来ることもあるため、素早い対応が求められます。

3コール以内に出られた場合の第一声は、次のように始めます。

「お電話ありがとうございます。〇〇介護施設の△△が承ります。」

一方、何らかの事情で4コール以上かかってしまった場合は、「大変お待たせいたしました。〇〇介護施設の△△が承ります。」と、お待たせしたことへのお詫びを最初に添えましょう。

電話に出る前の準備も欠かせません。メモ帳とペンを常にそばに置いておくことで、相手の名前・用件・折り返し先などをすぐに書き留めることができます。夜勤帯や人員が少ない時間帯ほど、この準備が重要になります。私が現場のスタッフに必ず伝えているのは、「電話が鳴ったら手が空いている人がすぐ取れる体制をつくっておく」ということです。電話を誰も取れないまま何コールも鳴り続ける状況は、家族に不安を与えるだけでなく、施設のイメージを大きく損ないます。

また、電話をかけてきた相手が誰であるかにかかわらず、最初から丁寧な対応を心がけることが大切です。相手が新規の問い合わせなのか、すでに入居している利用者の家族なのかが電話口だけでは分からない場合も多く、いつでも同じ水準の応対を保つことが信頼につながります。

施設名と名前を名乗る第一声のポイント

第一声で施設名と自分の名前を名乗ることは、電話対応の最重要ポイントです。相手は「ここは本当に目的の施設か?」「誰が出たのか?」を瞬時に確認しようとしています。明瞭に、そして少しゆっくりめに名乗ることで、相手に安心感を与えられます。

介護施設では多くの場合、以下のような名乗り方が一般的です。

施設種別名乗り例
特別養護老人ホーム「特別養護老人ホーム〇〇、介護職員の△△が承ります」
グループホーム「グループホーム〇〇の△△でございます」
デイサービス「デイサービス〇〇、△△が承ります」
有料老人ホーム「〇〇有料老人ホームの△△でございます」

「もしもし」で始めることはビジネスの場では避けるべきとされています。介護施設においても同様で、第一声から「施設名+自分の名前」で始めることを徹底してください。

また、声のトーンも重要です。電話では表情が見えないため、声だけで誠実さや丁寧さを伝える必要があります。普段より少し高めのトーンで、ゆっくりはっきり話すことで、聞き取りやすい応対になります。特に高齢のご家族から電話が来ることも多く、聞き取りやすさへの配慮は欠かせません。

取り次ぎや保留の正しい手順

介護施設に来る電話の多くは、担当のケアマネジャーや施設長、特定の職員への取り次ぎを必要とするものです。取り次ぎの際には、相手を長時間待たせないことと、正確に用件を伝えることの両立が求められます。

保留にする際の手順は以下のとおりです。

  • 「少々お待ちいただけますでしょうか」と一声かけてから保留にする
  • 担当者が近くにいない場合は、折り返しを提案する
  • 1分以上待たせる場合は一度出て「もう少しお待ちください」と伝える
  • 担当者が不在の場合は「〇〇はただいま外出しております。折り返しご連絡差し上げますがよろしいでしょうか」と案内する

取り次ぐ際には、必ず「相手の名前」「用件の概要」「折り返し先の電話番号」を担当者に伝えましょう。担当者が忙しい現場を抜け出してきた際に「誰から何の電話?」と聞き返さなくて済むよう、メモで伝えるのが最善です。

注意:保留中にも相手には音や声が漏れることがあります。担当者への取り次ぎ中に「誰からの電話か分からない」「あの家族、また電話してきた」などの発言が相手に聞こえてしまうトラブルが実際に起きています。保留中は施設内での会話に十分注意してください。

敬語と言葉遣いの基本ルール

介護施設の電話対応では、正しい敬語を使うことが信頼の土台になります。特に間違えやすいのが、「自施設の職員には敬称を付けない」というルールです。

場面誤り正しい表現
担当者が不在のとき「○○さんは席を外しております」「○○はただいま席を外しております」
担当者に伝言するとき「○○さんにお伝えします」「○○に申し伝えます」
施設長が対応するとき「施設長の□□がご対応します」「施設長の□□が対応いたします」

また、二重敬語と呼ばれる過剰な丁寧表現も避けるべきです。「おっしゃられました」「いただけますでしょうか」など、正しい敬語とも感じられないほど過剰な表現はかえって不自然に聞こえます。

さらに、電話対応では「クッション言葉」の活用が効果的です。「恐れ入りますが」「よろしければ」「差し支えなければ」などの表現を使うことで、依頼や確認の場面でも丁寧さを保てます。

よく使うクッション言葉の例:「恐れ入りますが、お名前をお聞かせいただけますでしょうか」「差し支えなければ、折り返し先のお電話番号をお教えください」「大変恐縮ですが、担当者が不在のため後ほどご連絡いたします」

なお、利用者のご家族との信頼関係構築については言葉遣いだけでなく、施設内での日常的な丁寧さも重要です。老人ホームの丁寧な言い方や場面別の表現方法についても参考にしてみてください。

介護施設の電話対応で起きやすいシーン別対処法

介護施設の電話対応で起きやすいシーン別対処法

基本マナーを押さえたうえで、次に現場でよく遭遇する具体的なシーンへの対処法を見ていきましょう。家族への様子報告や事故発生時の連絡、クレーム対応など、シーンごとに適切な対応方法を身につけておくことで、現場での焦りが大きく減ります。

家族からの様子確認電話への答え方

入居している利用者のご家族から「最近、母の様子はどうですか?」と電話をいただくことは日常的にあります。こうした電話は、家族が施設に信頼を寄せているサインでもあります。丁寧に、そして具体的に答えることで、安心感を届けることができます。

様子報告の電話で大切なのは、「事実を分かりやすく、ポジティブな要素も交えて伝える」ことです。

【様子報告の例文】

「〇〇様は最近、食欲もしっかりあり、お食事もほぼ完食されています。レクリエーションにも積極的にご参加いただいていて、笑顔も多く見られますよ。先日はご自身から職員に声をかけてくださることもありました。引き続き、お体の状態を見守りながらお支えしていきます。」

このとき気をつけたいのが、医療的な専門用語を使わないことです。「バイタルは安定しています」ではなく「血圧や体温は安定しています」、「ADLは維持できています」ではなく「日常の動作は以前と変わらず続けられています」のように、誰にでも伝わる言葉に置き換えましょう。

また、家族から電話があった際にすぐに担当者が対応できない状況も多くあります。その場合は「担当の〇〇は現在ケアに入っておりまして、折り返しご連絡いたしますがよろしいでしょうか。大体〇時頃にはご連絡できる見込みです」と、折り返す目安の時間も伝えられると親切です。

私ならこう判断します。様子報告の電話では「良いことだけを伝えればいい」という考えは危険です。例えば食欲が落ちている場合や、転倒のリスクが高まっている場合は、家族にもきちんと伝えておく必要があります。心配をかけたくないからと情報を隠すことは、長期的な信頼関係を損なうことになりかねません。伝えにくいことも、丁寧に、事実ベースで伝えることが誠実な対応です。

事故・転倒報告の電話の伝え方

介護施設で転倒や事故が発生した場合、迅速かつ正確に家族へ報告することが求められます。このような報告電話は施設にとっても緊張する場面ですが、適切に対応することで家族の不安を最小限に抑え、信頼関係を守ることができます。

事故報告の電話では、以下の「5つの基本情報」を整理したうえでかけましょう。

  • いつ(日時):本日〇時〇分頃
  • どこで(場所):居室内・廊下・食堂など
  • どうなった(経緯):歩行中に転倒、ベッドから落下など
  • 現在の状態(状態):意識あり・打撲あり・受診予定など
  • 今後の対応(方針):病院受診済み・主治医に連絡中など

【転倒報告の電話例文】

「〇〇介護施設の△△と申します。ご入居中の□□様の件でお電話いたしました。本日〇時〇分頃、居室内を歩行中に転倒される事故がございました。すぐに職員が駆けつけ、血圧・体温・意識の確認を行いました。意識はしっかりしており、右膝に軽い擦り傷がございましたが、現在は安静にされています。念のため本日中に提携の医療機関を受診する予定です。ご家族にも状況をご報告したうえで、今後の対応についてご相談させていただければと思いご連絡いたしました。」

電話を切った後は、伝えた内容を記録として残しておくことも重要です。「いつ・誰に・何を伝えたか」を記録することで、後から確認やトラブルが生じた際にも対応できます。

なお、介護事故の報告義務については、介護保険法および各都道府県の指針に基づいて定められています。重大な事故の場合は市区町村への報告が必要になる場合もありますので、施設管理者・ケアマネジャーと連携のうえで対応してください。(出典:厚生労働省「高齢者介護に関する情報」)

クレーム・苦情電話への対応手順

介護施設にはクレームや苦情の電話が来ることもあります。感情的になっている相手に対して、どのように向き合えばよいかを知っておくことは、現場スタッフにとって非常に重要なスキルです。

クレーム電話対応の基本は「まず聞く」です。相手が怒りや不満を抱えているときは、途中で言い訳を挟んだり、説明を急いだりすることは逆効果です。まずは相手の話をしっかり聞き、「そうでしたか」「おっしゃる通りですね」「ご心配をおかけして大変申し訳ございませんでした」と相づちを打ちながら傾聴します。

クレーム対応の手順をまとめると次のとおりです。

  • ①傾聴する:相手の話を遮らず、最後まで聞く
  • ②謝罪する:不快な思いをさせたことへのお詫びを伝える(事実認定はしない)
  • ③事実確認する:「確認して折り返します」と伝え、上司や担当者に引き継ぐ
  • ④折り返し連絡する:確認後、速やかに電話をかけ直す

注意:クレーム電話の対応中に「それは私の担当ではないので」「施設のルールですから」という発言は厳禁です。たとえ施設側に非がない場合でも、まずは相手の感情に寄り添うことが先決です。また、電話口だけで事実を断定したり、「それは○○さんのせいです」などと特定の職員に責任転嫁するような発言も避けてください。

新人職員がクレーム電話を受けた場合は、無理に一人で解決しようとせず「担当者または施設長に代わります」と伝えて引き継ぐことが最善です。クレーム対応に慣れていないうちから一人で抱え込むと、余計に状況が悪化するケースがあります。施設全体で共有できる体制を整えておくことが大切です。

個人情報保護を意識した折り返し対応

介護施設の電話対応では、個人情報の取り扱いに細心の注意が必要です。利用者本人の状態や入居状況、家族の連絡先などは、電話口での安易な開示を避けるべき情報です。

例えば「〇〇さんはそちらに入居していますか?」という問い合わせに対して、電話口の相手が本当に家族や関係者であるかどうかを確認せずに答えてはいけません。相手の名前・続柄・連絡先を確認したうえで、必要に応じて折り返しで対応するのが安全です。

【本人確認が取れない場合の対応例】

「大変恐れ入りますが、個人情報保護の観点から、電話口では入居の状況についてお答えしかねる場合がございます。差し支えなければお名前とご関係をお教えいただいたうえで、担当者より折り返しご連絡を差し上げることはできますが、いかがでしょうか。」

「本人確認さえすれば何でも話してよい」ということでもありません。施設内で「誰にどこまでの情報を開示するか」について、あらかじめ方針を定めておくことが重要です。特に入居者の病状・医療情報・金銭に関する情報は、家族であっても電話一本ですべてを開示することを避け、面談の場での説明が基本となります。

また、折り返し電話をかける際にも注意が必要です。相手が指定した番号以外にかけることは避け、万が一留守電になった場合も「〇〇施設の△△よりお電話いたしました。折り返しのご連絡をお待ちしております」程度にとどめ、詳細な内容は残さないようにしましょう。

専門用語を使わない分かりやすい伝え方

介護現場では日常的に使われている専門用語が、利用者の家族には全く伝わらないことがあります。電話対応では特に、相手の表情が見えないため、伝わりにくい言葉は誤解や不安の原因になります。

専門用語家族に伝わる言い換え
バイタル血圧・体温・脈拍(体の状態)
ADL日常生活の動作(歩行・食事・排せつなど)
誤嚥食べ物や飲み物が気管に入ること
褥瘡(じょくそう)床ずれ
既往歴これまでにかかった病気の歴史
インシデントヒヤリハット・事故に至りそうだった出来事
アセスメント状態の評価・現状確認

電話の際は「今、食欲がなくて経口摂取が減っています」という表現より、「今週は食事の量が以前の半分ほどに減っていて、無理に召し上がろうとされる様子もございます」のように、具体的なエピソードを交えて話す方が、家族にはずっと届きやすくなります。

専門用語を使わないことは、単なるマナーではなく、家族との情報共有を正確に行うための実践的なスキルです。特に急を要する電話のときほど、落ち着いて相手が理解できる言葉を選ぶ意識を持ちましょう。

補足:電話対応の質は、職員個人のスキルだけでなく、施設全体としての研修や共有体制によっても大きく変わります。新人研修で電話対応のロールプレイングを取り入れたり、対応事例を定期的に振り返るミーティングを設けるなど、組織的な取り組みが現場の底上げにつながります。

まとめ:介護施設の電話対応で信頼を築く

まとめ:介護施設の電話対応で信頼を築く

介護施設の電話対応は、施設と家族をつなぐ大切なコミュニケーションの場です。基本マナーから始まり、シーン別の対応方法まで、この記事でお伝えしてきたポイントをまとめます。

  • 電話は3コール以内に取り、施設名と自分の名前を明瞭に名乗る
  • 取り次ぎや保留の際は「一声かけてから」が基本
  • 自施設の職員には敬称を付けず、クッション言葉を活用する
  • 家族への様子報告は具体的なエピソードを交えて伝える
  • 事故報告は5つの基本情報(いつ・どこで・どうなった・現状・今後)を整理してかける
  • クレーム電話は「まず聞く・謝る・確認して折り返す」の流れで対応する
  • 個人情報は本人確認なしに開示しない
  • 専門用語を避け、誰にでも分かる言葉で伝える

電話対応が丁寧であれば、それだけで施設への信頼感は大きく高まります。逆に、どれだけ質の高いケアを提供していても、電話対応が粗雑だと「本当に任せて大丈夫だろうか」という不安を家族に与えかねません。施設全体での取り組みとして、日頃から電話対応の質を磨いていきましょう。

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※本記事の内容は、私自身の知見や一般的な情報提供を目的としており、特定の施設・サービスを推薦するものではありません。正確な情報は公式サイトや担当窓口にてご確認ください。最終的な判断は専門家や担当のケアマネジャーにご相談ください。

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