こんにちは。福岡介護ナビ、運営者のnishiです。
「介護施設にキャンプ場や馬がいる場所があると聞いたけれど、実際にはどんなところなの?」「親に馬との触れ合いを体験させてみたいけれど、介護施設に入っていても可能なの?」そんな疑問をお持ちのご家族は意外と多いものです。
実は近年、キャンプ場を併設した介護施設や、馬を活用したホースセラピーを取り入れる施設が少しずつ注目を集めています。高齢者にとって自然の中での体験や動物とのふれあいがもたらす効果は、単なる気晴らしにとどまらず、身体機能の維持や認知症予防にも深く関係することが分かってきました。
この記事では、介護施設のキャンプ場や馬体験がなぜ注目されているのかを丁寧に解説するとともに、そのような施設を選ぶ際に押さえておきたいポイントもお伝えします。施設選びの参考に、ぜひ最後までお読みください。
介護施設にあるキャンプ場と馬が注目される理由

介護施設に入居すると「もう外の世界とは縁が切れてしまう」と感じるご家族もいます。しかし実際には、自然体験や動物とのふれあいを積極的に取り入れることで、入居者の生活の質を大きく高めている施設が存在します。このセクションでは、キャンプ場や馬が介護の現場でなぜ注目を集めているのか、その背景と根拠をお伝えします。
ホースセラピーが高齢者の身体に与える効果
ホースセラピーとは、馬との触れ合いや乗馬を通じて身体的・精神的なリハビリを行う療法です。正式には「馬介在療法(Equine-Assisted Therapy)」と呼ばれ、欧米ではすでに数十年の実績を持ちます。日本でも2000年代以降、医療機関や介護施設での導入が進んでいます。
馬の背中に乗ったときの三次元的な揺れは、人間が歩くときの骨盤の動きに非常に近いと言われています。この動きが体幹を自然に鍛え、バランス感覚の維持・改善に役立ちます。車いすを使う高齢者の方でも、引き馬(馬に引いてもらう体験)や馬体への触れ合いだけで、筋肉の緊張をほぐし血行を改善する効果が確認されています。
また、馬の体温は約38度と人間よりやや高く、触れることで温かさが手や腕から全身に伝わります。この体温刺激が血流促進に寄与し、特に手先・足先の冷えが気になる高齢者にとって心地よい刺激となります。私が調べた範囲では、週1回のホースセラピーを3ヵ月続けた高齢者グループで、握力の向上と歩行バランスの改善が報告された事例もあります。
ホースセラピーの主な身体的効果
・体幹・バランス能力の維持改善
・筋肉の緊張緩和と血行促進
・姿勢の改善
・手指の細かい動作(馬のブラッシングなど)による巧緻性の向上
馬との触れ合いが認知症予防につながる理由
馬は非常に感情に敏感な動物です。人の緊張や不安をすぐに感じ取るため、馬と良好な関係を築くためには、自分自身が穏やかな状態でいる必要があります。この「馬に合わせて自分を調整する」というプロセス自体が、前頭前野の活性化につながるとされています。
前頭前野は判断・感情制御・コミュニケーションを司る脳の部位であり、認知症の進行とともに機能が低下しやすい領域でもあります。馬との非言語コミュニケーション(撫でる・目を合わせる・声をかけるなど)は、言語を介さない脳への刺激として、認知症の方にも比較的スムーズに取り組める点が評価されています。
アニマルセラピー全般の研究では、動物との定期的な関わりが認知症リスクの低減に関連するという報告が複数あります。特に馬のような大型動物とのふれあいは、驚きや感動といった感情の起伏を生み出しやすく、「また行きたい」という意欲・楽しみとして日常の張り合いになるという声が現場から聞かれます。施設入居者が「次のホースセラピーが楽しみ」と話すようになり、食欲や睡眠の質が改善したという報告も実際に届いています。
認知症予防の観点では、新しい体験・感動・コミュニケーションという要素がそろうホースセラピーは、薬に頼らないアプローチとして注目に値します。
キャンプ場を持つ介護施設の魅力と特徴
キャンプ場を敷地内・敷地隣接で持つ介護施設は全国的にはまだ少数ですが、特に地方の山間部や田園地帯に立地する施設では、広大な自然環境を活かした取り組みが行われています。「キャンプ場」と言っても、本格的なテントを張って野営するというよりも、焚き火台を囲んで季節の食材を一緒に調理したり、屋外でバーベキューを楽しんだり、星空を眺めながら縁側でお茶をするといった「アウトドア感覚のレクリエーション」を指すケースが一般的です。
屋外での活動は、日光を浴びることによるビタミンD生成、適度な外気への暴露による自律神経の調整、季節の変化を五感で感じるという体験を同時に提供します。施設内の空調管理された環境では得られない刺激が、心身のリフレッシュにつながります。
また、キャンプ的な野外活動は「昔の記憶」を呼び起こす回想法(レミニッセンス・セラピー)としての効果もあります。薪割りや焚き火の匂い、土の感触、虫の声といった感覚刺激は、幼少期や若い頃の記憶と結びついていることが多く、それを語り合うことがコミュニケーションの活性化につながります。
豆知識:グリーンケアとは?
欧州を中心に「グリーンケア(Green Care)」という考え方が普及しています。農場や自然環境を活用した介護・福祉サービスの総称で、日本では「農業療法」「園芸療法」「ホースセラピー」などがその一形態にあたります。キャンプ場や馬を持つ介護施設は、広義のグリーンケアを実践していると言えます。
自然体験が高齢者の生活意欲を高めるしくみ
施設に入居した高齢者の方が「もう何もしたくない」「毎日が同じで張り合いがない」と感じてしまうことは少なくありません。生活意欲の低下は食欲の減退や運動機能の低下にも直結するため、介護現場では「やる気をいかに引き出すか」が重要なテーマのひとつです。
自然の中での体験がなぜ意欲向上に効くかというと、まず「予測できない体験」があるからです。馬は毎回同じ反応をするわけではなく、天気によってキャンプの雰囲気も変わります。こうした「生きた体験」のもつ予測不可能性が、脳への新鮮な刺激となり、日常のルーティンに変化をもたらします。
また、馬の世話をする・火の番をする・野菜を収穫するといった「役割」を担う体験は、自己効力感(「自分にもできる」という感覚)を育みます。自己効力感の回復は心理的安定と深く関わっており、施設生活における幸福感の向上につながります。
私の知る限り、馬との触れ合いを定期的に実施している施設では、入居者の笑顔の回数が増え、スタッフとの会話が増えたという声が多く聞かれます。数値化は難しい部分もありますが、「生きがい」という言葉で表現されるこの変化は、介護の質を考えるうえで非常に大切な視点です。
介護施設のキャンプ場と馬体験を選ぶときのポイント

実際にキャンプ場や馬とのふれあいが楽しめる介護施設を探すとなると、「どうやって探せばいいの?」「安全面は大丈夫?」という疑問が出てきます。このセクションでは、施設選びの際に確認すべきポイントを具体的に解説します。
ホースセラピー対応施設の探し方と確認事項
まず、ホースセラピーを提供している介護施設は、施設のウェブサイトや各種介護施設検索サイトで「アクティビティ」「レクリエーション」「ホースセラピー」というキーワードで探すことができます。ただし、ホースセラピーは施設内で常時提供されているケースは少なく、「月1回の外出プログラムとして近隣の乗馬施設へ行く」「年数回、馬を施設に呼ぶイベントを行う」という形式が多いのが実態です。
施設見学の際には、以下の点を直接確認することをおすすめします。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 実施頻度 | 月1回・季節ごとなど、具体的なスケジュール |
| 対象者 | 要介護度・認知症の有無による参加制限の有無 |
| スタッフの資格 | 乗馬インストラクターや理学療法士の同行有無 |
| 費用 | 介護保険内か実費負担かの区別 |
| 馬の種類・状態 | セラピー用に訓練された馬かどうか |
「ホースセラピーを実施している」と謳っていても、実際には年に1度の外出イベントにすぎないケースもあります。定期的に体験できる施設かどうかを事前に確かめることが大切です。
アウトドア設備の安全管理体制をチェックする
キャンプ場や屋外エリアが充実した介護施設を選ぶ際、最も重要なのが安全管理体制です。屋外活動は転倒リスク・日射病・虫刺されなど、室内活動よりも注意すべき要素が増えます。
確認すべき点として、まず屋外活動時のスタッフ配置比率があります。厚生労働省が定める介護施設の人員配置基準は室内での日常介護を想定したものですが、屋外での活動では通常より多くのスタッフが必要になります。「屋外活動時は通常の1.5倍のスタッフを配置する」といった独自のルールを設けている施設は信頼できます。
次に、馬との触れ合いエリアのフェンスや床面の状態です。高齢者は転倒した際の骨折リスクが高いため、土の地面にウッドチップや砂を敷いているか、手すりや歩行補助具が十分に設置されているかを目視で確認してください。
また、屋外活動後の体調変化への対応フローも確認しておきましょう。活動後に疲労や興奮が残る方もいるため、「活動後は必ずバイタル測定を実施する」「医療連携先への連絡体制が整っている」といった体制があるかどうかは重要なチェックポイントです。
注意:感染症対策も確認を
動物(馬)との接触には、アレルギー反応や動物由来の感染症リスクが伴います。既往症にアレルギーがある方は事前に医師に相談するとともに、施設側の衛生管理状況(馬の定期健診・接触後の手洗い・消毒体制など)を確認することをおすすめします。
要介護度別の参加条件を事前に確認する
ホースセラピーやアウトドア活動は、すべての入居者が同じ内容で参加できるわけではありません。要介護度や身体状況によって、参加できる内容が異なります。
たとえば、実際に馬に乗る「乗馬体験」は、バランス感覚と一定の上半身の筋力が必要なため、要介護3以上の方には難しいケースがあります。一方で、馬を撫でたりブラッシングしたりする「ふれあい体験」であれば、車いす使用者や寝たきりに近い状態の方でも参加できます。
認知症の方の場合は、馬の存在に驚いてパニックになってしまう可能性もゼロではありません。初回は様子見として短時間だけ近づいてみる、慣れてきたら触れてみるというような段階的なアプローチを取れる施設かどうかを確認しましょう。
施設選びで迷ったときは、自宅近くの老人ホームを探すコツと選び方のポイントも参考にしてみてください。アクセスのよさとアクティビティ内容の両立が施設選びの鍵になります。
費用と介護保険の適用についての基礎知識
キャンプ場や馬体験を含む特別なアクティビティの費用は、原則として介護保険の給付対象外です。つまり、全額が利用者の自己負担となります。費用の目安は施設や内容によって異なりますが、乗馬体験1回あたり500〜2,000円程度の実費が発生するケースが多いようです。
一方、施設内で日常的に行われるレクリエーションの一環として馬とのふれあいや屋外活動が組み込まれている場合は、施設の月額利用料に含まれていることもあります。見学時には「アクティビティ費用は月額料金に含まれるか、都度実費かを事前確認する」ことをお忘れなく。
なお、介護施設の基本的な利用料(入居費・食費・サービス費)については、介護保険の種別ごとに自己負担額が異なります。特別養護老人ホームや老健であれば介護保険1〜3割負担の範囲内で利用できますが、有料老人ホームでは施設独自の料金設定があります。アクティビティに充実した施設は概して月額費用がやや高めになる傾向がありますが、その分の充実度をしっかり確認することが大切です。
費用面で不安がある場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することで、利用できる補助制度や助成金の情報を得られることがあります。介護保険外のサービスでも、市区町村の独自補助が使えるケースがあるため、丁寧に調べることをおすすめします(出典:厚生労働省 介護・高齢者福祉)。
体験入居でアクティビティを自分の目で確かめる
アクティビティの充実度を判断するうえで最も確実な方法は、体験入居を活用することです。多くの介護施設では、短期間(1泊〜数日)の体験入居プログラムを提供しており、実際の生活の流れやスタッフとの相性を確かめることができます。
体験入居の際に確認したいポイントは以下のとおりです。
- ホースセラピーやアウトドア活動が実際に行われている日程に合わせて体験入居する
- アクティビティへの参加は強制ではなく任意であることを確認する
- 実際に参加している入居者の表情や反応を見る
- スタッフが安全管理にどれだけ気を配っているかを観察する
「パンフレットには馬との体験と書いてあったのに、実際は年1回のイベントだった」という残念なケースも耳にします。私ならば、施設見学の段階でアクティビティの実施記録(写真・実施報告書)を見せてもらうことをリクエストします。実績のある施設は喜んで開示してくれるはずです。
また、施設のスタッフが「楽しそうに」アクティビティについて話してくれるかどうかも重要なサインです。形式的に「はい、やっています」と答える施設よりも、「先日の乗馬体験で○○さんがとても喜んでいて…」と具体的なエピソードを話してくれるスタッフがいる施設の方が、アクティビティへの本気度が高いと言えます。
まとめ:介護施設のキャンプ場と馬体験で豊かな老後を

キャンプ場や馬との触れ合いを提供する介護施設は、高齢者の身体機能維持・認知症予防・生活意欲の向上という観点から、非常に意義のある取り組みをしています。自然の中での体験は、薬や機能訓練だけでは補えない「生きがい」や「喜び」を高齢者にもたらします。
施設を選ぶ際には、ホースセラピーやアウトドアアクティビティの実施頻度・安全管理体制・費用・要介護度別の参加条件を丁寧に確認してください。体験入居を活用して実際の現場を自分の目で確かめることが、後悔のない施設選びにつながります。
大切な家族に「毎日が楽しい」と感じてもらえる施設を見つけるために、ぜひ積極的に情報収集を進めてみてください。
施設探しでお悩みの方へ
「何から始めればいいか分からない」「費用が心配」「急いで施設を探している」など、介護に関するお悩みは一人で抱え込まないでください。
福岡介護ナビでは、福岡県内の老人ホーム・介護施設に関する情報をまとめています。まずは情報収集から始めてみてください。
※本記事の内容は、私自身の知見や一般的な情報提供を目的としており、特定の施設・サービスを推薦するものではありません。正確な情報は公式サイトや担当窓口にてご確認ください。最終的な判断は専門家や担当のケアマネジャーにご相談ください。