こんにちは。福岡介護ナビ、運営者のnishiです。
「親が要介護3と認定されたけど、どんな施設に入れるの?」「要介護3でおすすめの施設ってどこ?」と、施設選びに頭を悩ませているご家族は多いと思います。
要介護3は、特別養護老人ホーム(特養)への入居が原則可能になる重要な区切りです。この認定を受けて「いよいよ施設を探そう」と動き出すご家族が多い一方で、選べる施設の種類が多すぎて「どこが合っているのか判断できない」「費用や待機期間が心配」という声もよくいただきます。
この記事では、要介護3の方が入居できる施設の種類ごとの特徴・費用相場・向き不向きを整理したうえで、施設を選ぶ際の実践的なポイントをお伝えします。特養に限らず、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、選択肢を広く持って検討していただければと思います。
要介護3の方におすすめの施設の種類とは?

要介護3の認定を受けると、特養を含む多くの施設に入居できるようになります。ここでは代表的な施設の種類と、それぞれの特徴・費用・向き不向きを解説します。
特別養護老人ホームの入居条件と費用
特別養護老人ホーム(特養・正式名称は「介護老人福祉施設」)は、要介護3以上の方が原則として入居対象となる公的介護施設です。2015年の介護保険法改正により、要介護3未満(要介護1・2)の方は特例として認められる場合を除いて入居できなくなりました。この改正によって、要介護3という介護度は「特養に入れる基準」として広く認識されるようになっています。
費用面での最大の特徴は、入居一時金が不要なことです。有料老人ホームの中には数百万〜数千万円の入居一時金が必要なケースもありますが、特養は月額費用のみで入居できます。月額の目安は要介護3の方で8〜15万円程度です。居室のタイプ・施設の所在地・所得区分によって変わりますが、他の施設類型と比べると費用が抑えられるのが特養の大きな強みです。
居室のタイプは大きく「多床室(相部屋)」と「ユニット型個室」の2種類があります。多床室は費用が安い反面プライバシーが確保しにくく、ユニット型個室は個室での生活ができる代わりに費用がやや高くなります。福岡市では近年ユニット型個室の整備が進んでおり、選択肢も少しずつ増えてきています。
介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかです。また、低所得の方には「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度があり、食費・居住費の一部が軽減されます。申請することで月2〜5万円程度の負担軽減が受けられるケースもあるため、費用が心配な方は担当のケアマネジャーや施設の相談員に確認することをおすすめします。
特養最大のデメリットは待機期間の長さです。全国的には平均2〜3年の待機が必要とも言われており、要介護3ですぐに入れるケースは決して多くありません。入所の優先度は要介護度の高さや在宅継続の困難さによって決まるため、要介護3の方は要介護4・5の方より後回しになることもあります。急いで施設を探している場合は、特養だけに絞らず幅広く検討することが現実的な対応です。
介護付き有料老人ホームの特徴とメリット
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた民間の介護施設です。施設内に介護スタッフが24時間常駐しており、要介護度が重くなっても原則として退去せずに生活を続けられる点が最大の特徴です。特養の待機期間の長さをカバーする現実的な選択肢として、多くのご家族が検討しています。
入居条件は施設によって異なりますが、要介護1〜5の方が対象となっているケースが多く、要介護3の段階から入居を検討するご家族も多いです。看護師の配置が義務付けられているため、医療的なニーズがある方でも受け入れてもらいやすい環境が整っています。
費用は施設の立地・設備・サービス水準によって大きく異なります。月額費用の相場は15〜35万円程度で、これに入居一時金(0円〜数千万円)が加わります。近年は入居一時金が不要な「月払い型」のプランを設けている施設も増えており、初期費用を抑えた入居が可能になっています。
民間運営のため、施設ごとにサービスの質・環境・雰囲気が大きく異なります。費用が高くてもスタッフが少ない施設がある一方、費用対効果の高い施設も存在します。資料やウェブサイトだけで判断するのではなく、複数の施設を見学・比較してから決断することが大切です。
特養の待機期間が長く急ぎで施設を探している方、医療ニーズが高い方、プライバシーを重視して個室での生活を希望する方には、介護付き有料老人ホームが現実的な選択肢の一つになります。費用の負担は重くなりますが、安心して長期的に生活を続けられる環境を確保できるのは大きなメリットです。
認知症の方にはグループホームが向いている
認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた方が少人数のユニット(1ユニット5〜9人)で共同生活を送る施設です。スタッフと一緒に料理・掃除・洗濯などを行いながら、家庭的な環境の中での生活を維持することを目指しています。
入居条件は、①医師による認知症の診断があること、②施設と同じ市区町村に住民票があること(または入居前にあったこと)の2点が基本となっています。要介護3以上であれば入居可能ですが、施設によっては要介護1〜2から受け入れているところもあります。
認知症ケアに特化したスタッフが対応するため、認知症による徘徊・暴言・妄想などの行動・心理症状(BPSD)がある方でも、専門的なサポートを受けられます。少人数の環境は変化が少なく、認知症の方が落ち着いて生活しやすい点も大きな利点です。
費用は月額7〜20万円程度で、初期費用(入居一時金)は0〜20万円程度と比較的抑えられています。介護付き有料老人ホームと比べて費用負担が少ない施設が多く、長期的な入居をコスト面でも支えやすい点が魅力です。
注意点は、看護師の配置が義務付けられていないため、医療的なニーズが高い方(胃ろう・喀痰吸引・インスリン注射など)には対応が難しいケースがある点です。また、施設と同じ市区町村の住民票が必要なため、引っ越しを伴う場合は注意が必要です。認知症の症状はあるが身体的な医療ニーズが比較的少ない方に、特におすすめできる施設類型です。
老健とサ高住はどんな方に向くか
介護老人保健施設(老健)は、病院を退院した後に在宅復帰を目指すリハビリ特化型の施設です。医師・看護師・理学療法士・作業療法士などが常駐しており、施設内で医療行為を受けながらリハビリを続けられます。入居期間の目安は3〜6ヶ月程度で、長期入居には向いていませんが、「入院から自宅に戻るまでの中継地点」として活用されるケースが多いです。
特養の待機期間中に老健を一時的な受け皿として利用するケースも珍しくありません。ただし老健も人気が高く、すぐに入れるとは限らないため、早めにケアマネジャーへ相談しておくことをおすすめします。費用は月額10〜18万円程度で、入居一時金は不要です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者専用の賃貸住宅です。大きく「一般型」と「介護型」に分かれており、要介護3の方が安心して入居するためには、介護サービスが施設内で一体的に提供される「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護型サ高住を選ぶことが重要です。
一般型のサ高住では安否確認・生活相談サービスが基本となっており、介護は外部の訪問介護などを別途手配する必要があります。要介護3の方は介護ニーズが高いため、一般型では十分なサービスを受けられないケースも少なくありません。費用は月額10〜25万円程度が目安で、住宅としての快適さと介護サービスを両立したい方に向いています。
老健は「在宅復帰を目指す施設」という位置付けのため、長期入居が前提の施設探しには向きません。特養の空きを待つ間の一時的な選択肢として活用するのが一般的です。
要介護3に合った施設を選ぶポイント

施設の種類を把握したら、次は「どの施設が親に合っているか」を判断するポイントを整理しましょう。認知症の有無・医療ニーズ・費用・立地など、複数の観点から比較することが重要です。
認知症の症状がある場合の施設選び
要介護3の原因として最も多いのは認知症です。厚生労働省の調査によれば、要介護1〜3では認知症が介護認定の原因第1位となっており、要介護3の方の中にも認知症の症状を持つ方が多くいます。認知症の症状がある方の施設選びでは、施設の「認知症ケアの体制と方針」を最初に確認することが大切です。
認知症の症状の程度によって、向く施設は変わってきます。軽〜中度の認知症であれば、少人数の家庭的な環境で専門的なケアを受けられるグループホームが有力な選択肢です。中〜重度の認知症や身体介護も同時に必要な状態であれば、24時間体制で介護スタッフが対応できる特養や介護付き有料老人ホームのほうが適しています。
認知症の行動・心理症状(BPSD)として、徘徊・大声・暴力・拒食などがある場合は、施設がそれらに対応できる体制を持っているかを必ず確認してください。スタッフの認知症ケアに関する研修体制(認知症介護実践者研修の修了者数など)を問い合わせることも有効です。
バリデーション法やユマニチュードなど、認知症ケアの専門的なアプローチを取り入れている施設は、BPSDへの対応力が高い傾向にあります。見学時に「認知症ケアでどのような取り組みをされていますか?」と直接聞いてみることをおすすめします。
また、認知症が進行するにつれて介護ニーズが重くなることも見据えて、「要介護4・5になっても対応できる施設か」という視点を持つことも忘れないでください。グループホームは認知症ケアに強い一方で、医療ニーズが高まったときに退去が必要になるケースもあります。将来的な状態変化への対応を事前に確認しておくことが、後悔しない施設選びにつながります。
医療行為が必要なときの施設の見方
要介護3の方の中には、胃ろう・喀痰吸引・経鼻経管栄養・インスリン注射・褥瘡(床ずれ)処置など、日常的な医療行為が必要な方もいます。施設によって対応できる医療行為の範囲は大きく異なるため、必ず事前に確認することが重要です。
特養(介護老人福祉施設)は看護師の配置が義務付けられていますが、施設によって対応できる医療行為の範囲に差があります。喀痰吸引や胃ろう管理については対応している施設が多いですが、点滴や中心静脈栄養など高度な医療行為は困難なケースがほとんどです。
介護付き有料老人ホームも看護師配置が義務付けられており、施設によってはオンコール体制(24時間医師・看護師に連絡できる体制)を整えているところもあります。医療ニーズが高い方の場合、「夜間に看護師が常駐しているか」「協力医療機関との連携はどうなっているか」を確認することをおすすめします。
老健(介護老人保健施設)は医師が常勤しており、介護医療院とともに医療と介護を一体的に提供できる施設として位置付けられています。医療ニーズが高い要介護3の方には、老健や介護医療院も選択肢の一つになります。
グループホームとサ高住の一般型は、医療体制が相対的に手薄な施設類型です。日常的な医療行為が必要な方がこれらの施設を選ぶ場合は、外部の訪問看護や協力医療機関との連携体制を詳しく確認することが不可欠です。「どこまでの医療行為に対応できますか?」と直接質問し、明確な答えが返ってくるかどうかも、施設の信頼性を見極める重要なポイントになります。
医療行為の対応可否は、同じ施設種別でも施設ごとに異なります。「特養だから大丈夫」と思い込まず、個別の施設に必ず確認するようにしてください。
月額費用を比較するときの注意点
施設を選ぶうえで、費用は避けて通れない重要な要素です。各施設の月額費用の目安を以下にまとめます。
| 施設種別 | 月額費用の目安 | 入居一時金 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 8〜15万円 | 不要 |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜35万円 | 0〜数千万円 |
| グループホーム | 7〜20万円 | 0〜20万円程度 |
| 介護老人保健施設(老健) | 10〜18万円 | 不要 |
| サービス付き高齢者向け住宅(介護型) | 10〜25万円 | 0〜100万円程度 |
月額費用を比較する際には、表面的な金額だけでなく「何が含まれているか」を確認することが大切です。食費・光熱費・おむつ代・クリーニング代・散髪代などが月額に含まれているか、別途請求されるかによって実際の負担額は変わります。入居後に「思っていたより費用がかかった」というケースをよく聞きますので、契約前に月額費用の内訳を書面で確認することを強くおすすめします。
また、介護保険の「高額介護サービス費」制度も活用できます。同一月に支払った自己負担の合計が一定の限度額を超えると、超過分が払い戻される制度です。所得によって上限額が決まるため、ケアマネジャーや施設の相談員に確認しておきましょう。
低所得の方向けには「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という食費・居住費を軽減する制度もあります。要件を満たす方であれば月2〜5万円程度の軽減が受けられるケースもあるため、申請漏れがないよう、入居前にケアマネジャーへ相談しておくことが重要です。
特養の待機期間と入所優先度の仕組み
特養は費用が抑えられ手厚いケアが受けられる点で人気が高く、常に多くの待機者がいます。全国平均では2〜3年の待機が必要とも言われており、「要介護3と認定されてすぐ特養に入れる」とは限らないのが現実です。
特養への入所は「申込順」ではなく、入所の必要性の高さをもとにした点数制の優先順位によって決まります。介護度の重さ・在宅介護の困難さ・介護者の状況(介護者が倒れた、独居で支援者がいないなど)が評価されます。
福岡市では「特別養護老人ホーム入所指針」として評価基準が設けられており、入所の優先順位は入所評価基準表の点数をもとに決定されます。(出典:福岡市 特別養護老人ホーム入所指針)要介護3の方は要介護4・5の方に比べて優先度が下がる傾向にありますが、在宅での介護継続が著しく困難な状況であれば、優先度が引き上げられることもあります。
現実的な対策として、私がおすすめする対応は次の3点です。
- 複数の特養に同時申し込みをする(1か所だけでなく、エリアを広げて申し込む)
- 待機中は老健や有料老人ホームを「つなぎ」として利用する
- 担当ケアマネジャーに定期的に連絡を取り、待機状況を確認し続ける
特養への入所を目指す場合でも、他の選択肢を並行して検討しておくことが肝心です。「特養が決まるまで介護が回らない」という状況を避けるためにも、現実的な計画を早めに立てておきましょう。
見学で必ず確認しておきたいこと
施設を選ぶうえで、資料やウェブサイトだけでは分からない情報を把握するために、必ず現地見学を行ってください。見学のタイミングは昼食の時間帯(11:30〜12:30ごろ)が最もおすすめです。食事の様子・スタッフの動き・入居者の表情を同時に確認できるため、施設の実態をリアルに把握できます。
見学時に確認したい主なポイントは以下の通りです。
スタッフの様子と入居者への関わり方
入居者への声かけ・表情・動き方が自然かどうかをよく観察してください。威圧的な態度や機械的なケアが見受けられないか、スタッフと入居者の間に信頼関係が感じられるかが大切なポイントです。
施設の清潔さとにおい
廊下・食堂・トイレ・居室が清潔に保たれているかを確認してください。においが強い場合は、衛生管理や排泄ケアに課題がある可能性があります。
医療・夜間体制と看取り対応
夜勤スタッフは何人配置されているか。緊急時のオンコール体制はどうなっているか。看取り(ターミナルケア)に対応しているかも、長期的な視点で必ず確認しておきましょう。
費用の透明性
おむつ代・散髪代・クリーニングなど追加費用が発生する場合は明確に提示されているか。「後から費用が上がった」というトラブルを防ぐため、契約書の内容をしっかり確認してください。
見学で確認すべき項目をより詳しく知りたい方は、当サイトの老人ホーム見学チェックリスト完全版|失敗しない施設選びもあわせてご覧ください。施設比較に役立つチェック項目を詳しくまとめています。
まとめ:要介護3の方の施設選びを始めよう

要介護3は、施設選びの選択肢が大きく広がる介護度です。特別養護老人ホームをはじめ、介護付き有料老人ホーム・グループホーム・老健・サ高住など、それぞれ特徴が異なる施設の中から、本人の状態に合ったものを選ぶことが重要です。
どの施設が合っているかは、認知症の有無・医療ニーズ・費用・待機期間への対応・立地など、複数の条件を整理したうえで判断することが大切です。特養は費用が抑えられる反面、待機期間が長いのが現実です。急いで施設を探している方や在宅での介護継続が難しい状況にある方は、介護付き有料老人ホームや老健も含めて幅広く検討することをおすすめします。
施設選びで迷ったときは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談が第一歩です。また、施設選びの全体的な流れや注意点をさらに詳しく知りたい方は、失敗しない老人ホームの選び方と注意点について解説もあわせてご参照ください。
施設探しでお悩みの方へ
「何から始めればいいか分からない」「費用が心配」「急いで施設を探している」など、介護に関するお悩みは一人で抱え込まないでください。
福岡介護ナビでは、福岡県内の老人ホーム・介護施設に関する情報をまとめています。まずは情報収集から始めてみてください。
※本記事の内容は、私自身の知見や一般的な情報提供を目的としており、特定の施設・サービスを推薦するものではありません。正確な情報は公式サイトや担当窓口にてご確認ください。最終的な判断は専門家や担当のケアマネジャーにご相談ください。